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博士号取得体験記

(作成中)会社で仕事をしながら博士課程に進学した体験記を公開します

1.はじめに

想定読者

  • 社会人の方で,仕事をつづけながら博士号取得(課程博士)を目指そうと検討している方
  • または,周囲に,博士課程進学者や博士号取得を目指そうとしている人がいて,その人が置かれている環境や心情を理解をしたい方

記事の狙い

  • 博士課程に進学するかどうか意思決定するときの判断材料の提供
  • 博士課程在籍者ないし博士号取得者に対する支援・処遇等の検討材料の提供

私自身,博士課程に進学するかどうか悩んだり,進学後,どのように周囲にサポートを得ていけばよいか悩んだりしたので, もし同じようにお困りの方がいたら,その人の助けになればと思い,これまでの取組みを公開することにしました,

エグゼクティブサマリ(要約)

  • 企業で仕事を行いながら大学の博士課程に進学し,博士号を取得することは可能だが,その道は過酷.
  • よって,周囲の支えがないとより一層困難に.支えて頂いたすべての皆さまに感謝.

得られたもの

  • アカデミックサイドからの研究ノウハウ(問題発見から解決までの道筋)
  • 短い時間でロジカルに論文を作成する力
  • 専門分野とその周辺の体系的な知識と説明テクニック
  • 人的ネットワーク(私の場合は僅かですが・・・)
  • 博士号と実績(論文が学術雑誌に採録されることなど)

と書きましたが,まだまだ未熟だと自覚しているところです.

失ったもの

言い換えると,投入した資源のことです.

時間

自分の余暇の時間を使うほかありません. 勤務時間中は仕事に専念していますし,休暇や時間外労働もほかの社員と同様の条件です. (よって,仕事が炎上すると,研究が止まります)

名目 時間 備考
入学手続き・入試 4日 研究計画発表,事務手続きなど
授業(主査の先生以外のもの) 20日 講義聴講・レポート作成・ディスカッション等
授業(主査の先生) 0日 実質,研究指導で単位認定
研究・実験 300日 6年間,夜間・土日は実質ずっと
発表準備 300日 同上(論文執筆時間のほうが長かった気も)
論文発表(D論除く) 15日 海外だとそれなりに長く.会社の夏休みを利用
D論(事務含む) 90日 唯々分量が多い・・・
その他 30日 査読協力,後輩指導,お付き合いなど.
合計  769日 1週間あたり23時間(土日+平日空き時間)を6年間

※1日とは8時間のことを指す

※お付き合いイベントは配慮してもらって,あまり参加しておりません.

お金

金額はおおよその値で,6年合計で計算したものです.

名目 金額  自己負担金額 備考
入学金 270,000円 270,000円 初年度のみ
授業料 3,240,000円 3,240,000円 半年ごとに27万円
書籍代 50,000円 25,000円 極力,会社で理由をつけて購入
交通費 250,000円 125,000円 大学都合によるものは研究室負担
学会会員費 120,000円 120,000円 ACM, IEICE
論文投稿料 300,000円 0円 研究室負担(自分で払ってないので,詳細不明)
実験費用 1,000,000円 400,000円 個人PCのみ自費負担.ソフト・サーバは研究室負担
論文印刷料 180,000円 180,000円 D論の製本(意外と高い),論文印刷確認用
合計  5,410,000円 4,370,000円

私の所属企業では,博士号取得に係る制度がないため,会社の金額負担はほとんどありませんでした.

目次

長くなる記事になりますので,いくつかのページに分割して記載します.

  1. はじめに(このページ)
  2. 博士課程進学のきっかけと手続き(大学・社内調整)
  3. 進学直後の過ごし方(単位の取り方)
  4. 研究の進め方と研究発表(社会人学生としての研究の苦悩)
  5. 学位申請と博士論文執筆(公聴会までの流れ)
  6. おわりに(博士号取得後のお話)

※内容は変わる可能性があります.

著者について

博士課程進学前

  • 2007年3月 修士課程修了(修士(工学))
  • 2007年4月 就職(大手企業の総合職として.エンジニアではなく)

肩書はエンジニアでしたが,やっていることは委託管理や契約事務,社内調整等が主で,ときどき,技術企画や経営層に説明に入る資料等を上司について手伝っていました.

博士課程進学後

  • 2011年4月 博士後期課程進学,このとき,28歳
  • 2017年3月 博士後期課程修了(博士(工学)), このとき,34歳
  • 博士課程の専攻分野は工学.研究分野は通信プロトコル修士と同様)

博士課程在籍中も,他の社員同様に仕事は通常通り担当していました.この辺りの両立の話は,後ほど詳しく記載します.

ご注意

  • この記事は,博士号取得を推奨したり,博士号取得者の処遇を改善したりしようとする宣伝目的の記事ではありません.実体験に基づきながら博士号取得の足どりを紹介する記事です.
  • 修士課程(博士前期課程や一貫性課程など含む)から直接博士課程に進学される方や,論文博士(乙申請)を目指す方,退職や博士号取得をミッションに与えられた業務を行う方など,博士号取得に専念できる方には参考にならないと思います.
  • 博士課程は専攻する学問や師事する先生,所属する大学によって,状況は大きく異なると思います.したがって,この記事の通りでないことも多いと思います.妄信しないようにご注意願います.

つづく・・・